八月二十七日
HBギャラリー。
伊野孝行・丹下京子二人展「鍵」に行きました。
谷崎潤一郎の小説「鍵」は、主人公の夫婦が
お互いの日記を「読んでいない」ことで成り立っている。
夫を伊野孝行さん、妻を丹下京子さんが演じる(描く)。
まず、そのアイデアが良い。
二人展、グループ展となると
誰々が良かった、となりがちだ。
普段の二人の絵が交互に並んでいたら
やはり(好みの差で)どちらかが
どちらかの引き立て役になるだろう。
だがこの展示では、むしろ相乗効果で
二人が醸し出す淫らな「鍵」の世界に
心地よく引き込まれてしまう。
職業柄、イラストの展覧会に行くときは
「仕事に使えるか」というスケベゴコロが
頭の中の多くを占めている。
そういった目で見始めたことが
間違いだったとすぐに気づく展示だった。
(絵はスケベです)
邪心を捨てて、絵の前に立ってみよう。
九月一日まで。行ったほうがいい。
(F)