2012年7月20日金曜日

ホワイトインキは悩ましい

吉田松陰全集』(新装復刻版)の装丁です。
2月刊行でしたが今頃のご紹介……。
全10巻+別巻1冊で、本体99,000円(税別)です。
みんな買ってね〜(笑)

カバーはファーストヴィンテージ(アップルグリーン)に
白箔+白インキ+スミ。
タイトルが箔で、白インキは左の「第一巻」の地の小さい部分!


↑上が白二度刷り、下が箔押し。

初校で一度刷り、二度刷りを試すも思ったより薄くて、白箔に。
当初、イメージを実現するには、三度か四度刷りか?と
思いましたが、あまり一般的ではないし、
制作さんから、白箔を提案されたのでそうしました。
箔にするほど濃くなくなくても良かったんですけど、
これはこれでイイですよね。高価な本だし。


↑4月の「装丁夜話」でも白インキのオハナシをしました。
右上に小さく映っているのは、
これのカバーも白二度刷りです。

↑『1秒でも早く!「ダメージ」から抜け出す方法
右がOK未晒クラフトに白インキ二度刷り(不採用!)
※上2点撮影=折原カズヒロさん(トリミング:筆者)



去年から今年にかけて、白インキを検討する案件が
いくつかありましたが、どれも満足のいくものが
色校1回では、できない始末でして…。

そんなところに『デザインのひきだし16』で
“白オペークを極める”という素敵すぎる特集が!
(去年やってくれたらもっともっと素敵すぎました)
これを見るまでは白オペークインキの銘柄まで指定する
という知識や発想やありませんでした。
白オペークにもたくさんの種類があって
隠蔽力が違うんですね。参考になります。

さらに青山ブックセンター本店の
「白インキ徹底テスト結果展」のイベントで
6月17日にデザイナーの大島依提亜さんと、
デザインのひきだし編集長・津田淳子さんの
トーク・ショーもあり、行ってきました。

白オペークだけの話のマニアックなイベントなのに
けっこう人が集まっていましたね。
写真でしか知らなかった大島依提亜さんの
白オペークを使った数々の仕事を
手に取って見ることができたのは良かったです。

大島さんは、ラウンドガール?としての出演の
名久井直子さんと津田淳子さんに、
“変態”と(愛をこめて)呼ばれていました。
でも、お二人も充分“変態”ではないかと…。
このイベント自体が“変態”の集会だったのかもしれませんがね。

ぼくは、大島さんデザインの、映画『曲がれ!スプーン』の
パンフレットの本文組みが曲がっているところに
変態性を読み取りました。



↑トークショーのおみやげ。
『デザインのひきだし16』に収録されている
見本を綴じたもの。(デザインは、大島大島依提亜さん)


[ミニ情報]
竹尾のミニサンプル、濃い色紙に白い文字で刷ってあるのは
「PO 100白」(インキの銘柄)の一度刷りだそうです。


ハナシは変わりますが、デザインや印刷の関係者でも
「インク」って言う人がいますよね。
『印刷は「インキ」で、「インク」は万年筆だ!』
と教わったものですから、
気になってしょうがないんですけど。
最近はどっちでもいいことになったんでしょうか?

(F)