2011年2月24日木曜日

「杉浦康平のデザイン」




「杉浦康平のデザイン」を読みました。


日本で一番平凡な名前の出版社” から発売中。


装幀は、菊地信義さん。

杉浦さんと菊地さんとは、なんと豪華な組み合わせ!


著者の臼田捷治さんは長年にわたり杉浦さんを取材しており

臼田さんしか書けない興味深い話が、これでもかと出てきます。



思い出すのは、通常は垂直・水平に置かれる文字や図版を

ナナメに配置した理由に言及している

『銀花』五十六号の「北天なるものにむかって……」

と題された、杉浦さんの文章です。

当時の『銀花』の表紙の文字や図版は傾いて配置されていました。

その角度は決まっていて、垂直線との角度は二十三・五度。

なんとこれは,地球の自転軸の角度だったのです!


杉浦さんの言葉を借りれば、

“太陽をめぐる広大なる公転軌道面となす角度

──『黄道傾斜』──に奇しくも一致している”

なのです!

初めてこの文章を読んだ当時は、

目眩で天井がグルグル回るような気分でした。


そんな杉浦デザインの秘密が満載の素晴らしい本なのです。

ひとつ残念なのは、写真が少ないことです。

杉浦初心者にはちょっとハードルが高くないか。

新書としては決して少なくないのですが

できれば引用されている仕事の写真を全部見たいなあ。

“日本で一番平凡な名前の出版社” 様、

写真万載の「完全版」を希望します。

高くなっても買います。




話は変わりますが、この“日本で一番平凡な名前の出版社” の

ブログの2月22日、山田杏里さん「棒人間」は必見です。

アニメーションならではの作品です。

限定公開なので、お早めに!


(F)