「杉浦康平のデザイン」を読みました。
“日本で一番平凡な名前の出版社” から発売中。
装幀は、菊地信義さん。
杉浦さんと菊地さんとは、なんと豪華な組み合わせ!
著者の臼田捷治さんは長年にわたり杉浦さんを取材しており
臼田さんしか書けない興味深い話が、これでもかと出てきます。
思い出すのは、通常は垂直・水平に置かれる文字や図版を
ナナメに配置した理由に言及している
『銀花』五十六号の「北天なるものにむかって……」
と題された、杉浦さんの文章です。
当時の『銀花』の表紙の文字や図版は傾いて配置されていました。
その角度は決まっていて、垂直線との角度は二十三・五度。
なんとこれは,地球の自転軸の角度だったのです!
杉浦さんの言葉を借りれば、
“太陽をめぐる広大なる公転軌道面となす角度
──『黄道傾斜』──に奇しくも一致している”
なのです!
初めてこの文章を読んだ当時は、
目眩で天井がグルグル回るような気分でした。
そんな杉浦デザインの秘密が満載の素晴らしい本なのです。
ひとつ残念なのは、写真が少ないことです。
杉浦初心者にはちょっとハードルが高くないか。
新書としては決して少なくないのですが
できれば引用されている仕事の写真を全部見たいなあ。
“日本で一番平凡な名前の出版社” 様、
写真万載の「完全版」を希望します。
高くなっても買います。
話は変わりますが、この“日本で一番平凡な名前の出版社” の
ブログの2月22日、山田杏里さん「棒人間」は必見です。
アニメーションならではの作品です。
限定公開なので、お早めに!
(F)